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高知県佐川町にある小さなイタリアンレストラン「da zero」。本当にこんなところにレストランがあるのか?思わずそんな感想を抱いてしまうような場所にこのお店は建っていました。辺りは見渡す限りの畑で、他に目ぼしい建物は民家くらい。
では町の人が趣味でやっているようなレベルなのかと言うと大間違い!むしろ東京の一等地でお店を出していてもおかしくないクオリティです。
どうしてこんなド田舎でお店を開くことになったのか、一体どんな料理が食べられるのか、実際に訪れた経験をもとにご紹介していきます!
都会から田舎へ移住 ゼロからの出発
そもそも佐川町とは、高知市から西へ1時間ほど行った田園風景が広がる小さな町。シェフの的場篤志氏は元々本場イタリアの星付きレストランで修業を重ね、東京や大阪でその腕を振るっていた料理人です。しかし次第に多忙になり、「家族との時間を大切にしたい」という想いから、都会での生活を捨て奥さんのゆかりの地である高知県へと移住したのだそう。
お店として使っている建物も、元はマダムのおばあさんの家だったそうですが今ではオシャレなカフェ風に改装されています。テーブルのすぐ横にオープンキッチンがあり、カウンターにはたくさんの食材が所狭しと並びます。
「da zero」とはイタリア語で「ゼロから」を意味する言葉。文字通りシェフにとっては縁もゆかりもない土地で、ゼロから再出発する…そんな思いを込めてこの店名をつけたのだとか。2019年6月にオープンしたばかりの比較的新しいお店ですが、今ではかなりの人気店へと成長しています。事実、私が訪れたこの日のランチは満席でした。
高知の食材を使った自然派イタリアン
「da zero」で使われる食材はどれもシェフが直接生産者さんの元を訪ね、自分の目で見て選んだ高知県産のもの。あまり手を加えすぎず、地域の風土を感じられるような自然派のイタリアンを目指しています。
今回私がいただいたのは4,000円のランチコース。田舎の価格帯としてはまずまずですが、都会の価格帯で考えるとコスパもかなり良いでしょう。1品目に出てきたのがバターナッツの冷製スープ。バターナッツとはカボチャの一種であり、ナッツの風味が感じられる品種のこと。これに合わせるのはシナモンパウダーとセロリ。濃厚すぎず、シナモンの香りやセロリのシャキシャキ感が面白い一皿でした。
次いで出てきたのはメダイのカルピオーネ。カルピオーネとは簡単に言ってしまえば南蛮漬けのようなもので、一度唐揚げにした魚を酢漬けする料理です。付け合わせはスライスされたマッシュルームやセロリ、そして玉ねぎの酢漬け。とてもさっぱりとした料理で、パプリカのソースとの相性も良かったです。
そして私が特に気に入ったのがタリアテッレ。土佐ジローの卵を使ってシェフがその日の朝に手打ちした麺で、モチモチとした食感が堪りません。合わせるソースは米豚のラグーソースとツルムラサキ。パスタにツルムラサキを合わせる発想が珍しく、粘り気もある面白い料理です。
ただイタリアンレストランではよくあるのですが、デザートのマスカルポーネのムースとヌガーグラッセが少々甘すぎる気がしました。イタリア人は甘いものが大好きなので、これも本場ならではの味なのかもしれませんが、もう少し砂糖が控えめのほうが日本人には合う気がします。
地球と身体に優しい持続可能な店
「地球と身体に優しい持続可能な店」とは、シェフが掲げるお店のコンセプトの一つです。店名の「da zero」には新天地でゼロからスタートするという意味の他に、「フードロスをゼロにしたい」というシェフの熱い想いが込められています。
「食べられない人がいる」という事実に真摯に向き合い、この社会問題に取り組んでいるのだとか。彼は移住したここ高知県から食を通じて、未来へとつながる事業を目指しているのです。
また「暮らすように働く」という田舎での生活にも共感します。「da zero」のような店が地方でもっと増えて、日本の田舎がもっと元気になってくれればと思います。
データ
店名 | 自然派イタリア料理da zero |
ジャンル | イタリアン |
住所 | 高知県高岡郡佐川町丙3051 |
電話番号 | 0889-20-9603 |
個室 | 無し |
予算 | ランチコース¥4,000~ ディナーコース¥6,000~ |
予約 | 完全予約制 |
URL | 無し |
まとめ
「東京や大阪など大都市にお店を構えられるんだから、良いレストランだろう」
そんな考え方はもはや古いです。地元で採れたばかりの食材を使い、一つ一つ丁寧に作り上げる田舎での自然派の料理は、都会では味わえない特別な味です。今回訪れた「da zero」での食事もそう思わせてくれる素敵なものになりました。(2021年9月訪問)