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道後温泉の共同浴場・飛鳥乃温泉(あすかのゆ)のすぐそばにあり、旅館が立ち並ぶ絶好のロケーションに1軒の日本料理屋があります。その名も「道後海舟」。
もちろん温泉地ですし、宿泊先の宿で食事をいただくのもいいですが、せっかくなら愛媛の旬を味わい尽くせるお店で最高の食事を楽しみたいもの。ここはまさにそんなお店であり、県内外から多くの人が訪れる人気店です。
写真はウェルカムではない…?
1983年に大将のお父様がこの店をオープンさせて以来、長く愛媛という土地で愛され続けている「海舟」。元は松山市東野という小さな町からスタートして、繫華街の一番町へと移り、そして2020年にまたこの道後の町に越してきたのだとか。
お店に足を踏み入れると既にもう常連さんたちの姿が。個室の方に人がいたかは分かりませんが、カウンターは当然のように満席でした。
1品目の料理が運ばれてきて、いつものように写真を撮ろうとすると、「このご時世ですので写真はちょっと…SNSに上げなければいいですよ」とのこと。ステイホームが叫ばれている今、たしかに外で食事をしている様子を上げるのは微妙かもしれません。なんとなく撮りづらい雰囲気だったため、今回写真は少なめ。残念。
全部愛媛産・瀬戸内産の最高のものを使用
創業当時から変わらない「愛媛の食材の素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらいたい」という想いから、食材はすべて愛媛や瀬戸内のものを使っているこのお店。ごちゃごちゃと複雑に調理するのではなく、あくまでシンプルに。素材の美味しさを引き立たせるような料理を提供します。愛媛県産の食材に誇りを持っておられるようで、メニューには事細かに産地や生産者の名前が綴られています。
四季に応じて食卓に並ぶ料理は変わりますが、今回私が訪れた9月の上旬はちょうど秋に足を掛け始めた頃。秋の食材を先取りするような料理もあり、非常に楽しむことが出来ました。今回はディナーの訪問で、15,000円で13皿程度いただけるコースを選択しました。
特に印象深いのが伊勢海老のお料理。9月に解禁されたばかりだという三崎産の特大伊勢海老が生きた状態でカウンターキッチンに登場。なかなか活きが良く、普通であればタオルで目を隠してやれば大人しくなるそうですが、最後の足搔きとばかりに暴れ、キッチンから落ちそうになっていました。そんな伊勢海老は中をレアに保ったまま軽く火を通し、伊勢海老の味噌醬油と一緒に。刺身のようでいてまたちょっと違った食感が面白く、濃く深みのある味噌醤油との相性も良かったです。
また8~9月が旬と言われる太刀魚は驚異の5kgオーバー。このサイズになるとドラゴン太刀魚と呼ばれるそうで、大葉や梅肉と一緒にフライにして出していただきました。ふんわりと淡白な味わいの太刀魚にはやはり香りや味の主張が強い食材がよく合います。栗のチップや山椒塩もアクセントになって面白かったです。
また、冷たい茶わん蒸しの上には贅沢にウニがあしらわれている料理も美味しかったです。
また最後の御食事の時には瀬戸内の天然うなぎの山椒焼きや、カツオのたたき、イカの酒盗などなどご飯のお供がこれでもかと出てきて、「愛媛の食材を余すところなく味わってほしい」、そんな大将の想いが伝わって来るようでした。
しゃべりが上手く楽しい大将
大将の坂本紀征氏は非常に口達者な方。初めてのお客さんでも気づいたら懐に入って来るような話術が巧みで、私たちも気づけば大将との会話に花を咲かせていました。
こういう常連さんが多いお店の中には、一見さんのことはほったらかしにして常連さんとの会話に付きっきりになるところも多いですが、こちらでは分け隔てなく話を振ってくださったのが嬉しかったです。
食事で大切なのはもちろん料理ですが、お店の雰囲気も同じくらい大事だと思います。楽しい気持ちでいただけば、やはりそれだけ料理も美味しく感じますし。ここでの食事は旅の1ページに残る思い出深いものになったのは言うまでもありません。
話が弾んだせいか、最終的には「写真も全然撮ってもらって構いませんよ」とのお許しもいただけました。
データ
データ
店名 | 道後海舟 |
ジャンル | 日本料理 |
住所 | 道後湯之町15番27号 |
電話番号 | 089-915-6600 |
予算 | ランチコース¥10,000~ ディナーコース¥10,000~ |
予約 | 完全予約制 |
個室 | あり |
席数 | 30席 |
URL | http://dogokaishuu.com/ |
まとめ
この日私は計13皿の料理をいただいたのですが、正直驚かされることが多かったです。というのも、これまで私は愛媛というとミカンのイメージしかなく、北海道のウニに負けないほど甘くとろけるウニが瀬戸内海で獲れることも、愛媛で美味しい天然ウナギが獲れることも知りませんでした。
「道後海舟」で食事をしたことで、大将や先代が愛媛の食材にプライドを持っている理由がやっと私にもわかったような気がしました。(2021年9月訪問)