DIRETTO(ディレット)(イタリアン/広島市/広島県)～良いものをシンプルに

美食店が軒を連ねるエリアに建つ「DIRETTO」

広島駅から路面電車で20分ほどの場所にある中電前駅。そこからさらに徒歩10分ほど歩いた場所にあるのが「DIRETTO」というイタリアンのお店です。広島県唯一の2つ星レストラン「ヒロト」からは徒歩20秒ほどの場所にあり、こちらのお店もゴ・エ・ミヨに掲載されている話題のお店です。
今回この近くのホテルに滞在し両店で食事を楽しんだ私ですが、個人的には「DIRETTO」のほうが洗練されてグルマン向きの料理が味わえるお店だと感じました。今回はそんな隠れた名店のオススメポイントをご紹介していければと思います。

カウンターで味わう薪焼きイタリアン

ライブ感覚で楽しめるカウンター席

「DIRETTO」は黒いモダンな外観が特徴的な一軒家レストラン。薪焼きを用いたシンプルな料理を得意としていて、入ってすぐその炎が目に入りました。中は陽射しが柔らかく差し込むつくりになっていて、どこか温かみも感じます。店内の雰囲気も抜群に良く、静かで落ち着いた店内に薪のパチパチとした音が響き風情があります。

炙ったマイタケと軍鶏のスープ

席はカウンター6席とテーブル席が1つありますが、コロナ禍でこの日は私たち含め2組だけだったのでカウンターでいただくことが出来ました。ランチもディナーと一緒の価格設定で、全8皿の11,000円のコースのみ。今回私はランチに訪れましたが2時間半の長丁場でした。
お店は奥さんと二人でやられているようですが、サービスに不満を感じる点は一切ありません。むしろ火加減が難しいであろう薪焼きを一人で完璧にこなしているシェフに驚かされるばかりです。薪焼きの炎が上がる横でIHのシステムを導入しているのも面白く、パスタなどはそちらで調理をしているようです。

絶品の生ハム

この下にモッツァレラチーズとイチジクが

イタリアンで欠かせない要素の一つ、生ハム。「DIRETTO」で採用している生ハムは「ペルシュウ」と言って、日本人唯一の公認パルマハム職人多田昌豊氏が作る極上の品です。26カ月という長期熟成された生ハムを贅沢にその場で削るのが「DIRETTO」流。一緒に合わせるのはこれまた一級品のモッツァレラチーズ。千葉県の木更津で作られる竹島さんの水牛のモッツァレラチーズは、鮮度にこだわった逸品です。そんなモッツァレラチーズとイチジクをお皿に盛り、それを覆い隠すようにたっぷりの生ハムを載せます。こんなの美味しいに決まってる！

目の前で削ってくれるのも見ていてわくわくします

私は数年前までハムが嫌いだった人間なのですが、この生ハムは嫌な臭みが一切なく、塩味もちょうどいい。尚且つ口に入れた途端脂が溶けて舌に旨味が広がります。モッツァレラチーズも表面は弾力がありながらも中は驚くほどミルキー。チーズに果たしてこの表現が正しいのか分かりませんが、ジューシーとすら感じるほど噛むと汁が溢れます。そんな二つを繋いでくれるイチジクの甘みも素晴らしく、まさに黄金の組み合わせと言えます。ここにお酒があれば最高だったのですが、残念ながら緊急事態宣言中だったのでノンアルで我慢。
いいものを並べて出しただけじゃんと思われるかもしれませんが、ハムはスライスの仕方一つで風味が変わるので、ここでもシェフの技量が窺えるというわけです。

シンプルなのに？いや、シンプルだから美味しい！

カラスミを混ぜただけのように見えますが…？

「DIRETTO」の料理は非常にシンプルなものが多く、通な人向けのお店とも言えるかもしれません。なにせ最初に出てきたのはマイタケと軍鶏のスープ。これが文字通り軍鶏の出汁をとっただけのスープに、炙ったマイタケを入れた極めてシンプルな料理なのです。余計な調味料を入れていないので味は確かに薄いのですが、マイタケの香りと軍鶏の旨味が絶妙。ひと口食べて「美味しい！」となる料理とは違い、何度か口に運んでホッと「美味しい…」と零れるような、そんな素朴な美味さがあります。
また個人的に良いと感じたのがパスタ。細めのうどんかと見間違うような太麺に合わせるのはカラスミ。塩分はこのカラスミのみで、アクセントにカボスの果汁と削った皮を加えます。一見めちゃくちゃシンプルなのにどういう訳か止まらない美味しさ。このパスタソース販売してほしい。

鰻はカリカリなのに中はふんわり！

また薪で焼いたメインの鴨肉は皮面がパリッと香ばしいのにもかかわらず中は水分を保っていて焼き加減が絶妙。やっぱりシンプルだからこそ違いが出ます。なめこと合わせてくるのも面白く、メインにふさわしい料理でした。
普通ならここでデザートにいくのですが、奥のIHでコトコトと火にかけている小鍋を見逃す私ではありません。一体何をつくっているんだろうと気になっていたのですが、出てきたのはキノコのおじや。リゾットではなくおじやです。キノコの旨味をたっぷりと吸ったお米は抜群に美味しく、メインまでしっかり食べた後でもぺろりと食べられるあっさりさ。締めにこんなに美味しいの持ってくるなんてずるいです！

データ

キノコのおじやは絶品！

お店MAP

まとめ

デザートはカカオのアイスとナガノパープル

実は広島旅行の最後を締めくくるレストランがここ「DIRETTO」だったのですが、まさに最後を飾るにふさわしい最高の料理を味わえました。勿論最後のデザートまで完璧。コースの最初から最後まで一貫して「素材の味をダイレクトに」「良いものをシンプルに」というコンセプトがしっかりしていたように思います。きっと近いうちに星付きレストランとして有名店になると予想されるので、早めに訪問してみてはいかがでしょうか。(2021年9月訪問)