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周南市(旧徳山市)のとある場所にお店があるとわかってタクシーで伺いました。予約時は住所も電話も非公表。ネットのみの予約です。それも予約が取り難いことで知られる超困難店のひとつです。今回は記念日のお祝い目的ということで、特別3か月前からの予約を受けてくれたので取れたのです。規定では2か月前から予約開始で、2か月前には空きがなく取ることはできないことが多いのです。
予約が取れないほどいやが上にも期待は膨らみます。2021年10月上旬のランチにお伺いしました。
シェフ1人で1組のゲストに対応
目的地に到着。それらしき建物には看板ひとつありません。ぐるぐる建物の周りをまわって、可能性のある白いカーテンの掛けられた入り口を開けて入ってみると、正解でした。
ミステリアスな部分の多いお店は、より一層興味を持ってもらえるし、隠れ家風で行ってみたくなる人も多いのでしょう。そういう意味ではうまい方法かと思えました。
中ではシェフが一人で準備中でした。以前は1組6名まででしたが、コロナ禍で現在は1組4名までのゲストを受けているそうです。カウンターは高い造りで厨房は見えません。あまりオープンな性格ではないのかなあと思いました。なにもかも独特のやり方を貫いているシェフのようです。
オーナーシェフ橋本桂一氏は東京のお店で10年ほど働き、2015年に地元山口にて一人でこのお店を始めたそうです。
デザートコース12000円を頂きました
今回はデザートの充実した「デザートコース」というメニューのランチを頂きました。アミューズ2品、前菜1皿、魚と肉が出た後はデザートが大充実でした。
アミューズの最初は栗のポタージュ。まろやかな栗の風味がいっぱいのポタージュにはぶどうの酸味がアクセントになって感動的な味わい。次はフォアグラのテリーヌにピオーネを合わせて美味しい前菜です。ただしフォアグラだけだとやはり濃厚なので、パンかクラッカーが欲しかったです。
前菜は茄子のムースリーヌ。結構しっかり量もあって敷き詰められ、琵琶湖のマスとトマトのマリネ、筋子がプチプチいい食感です。そして何より盛り付けが美しくて素晴らしいのです。
魚料理は鱈のコンフィ。夏野菜のタルタルサラダや梨の甘いソースがベストマッチ。でも私には切り身が大きすぎて途中で単調になってしまいました。
肉料理は和牛ほほ肉の煮込みです。柔らかくて美味しい仕上がりでした。
デザートはチーズから始まって、マンゴプリンやバナナのティラミス、ミニャルディーズにガトーショコラまで出てボリュームオーバーでした。よほど甘党の人ならお薦めですが、通常のコースでもデザートが出るのに、デザートコースにしないとデザートが付かないのかと勘違いしたのです。少食の人にはお勧めできません。
それにしてもシェフはこうしたたくさんのデザートまで自分で作られるとはすごすぎます。大変な作業と、もちろん能力もいるでしょう。
シェフ独自の方針を貫く
今回は記念日として予約をしていました。他にゲストもいないので、我々だけでもシェフが盛り上げてくれるかと期待しておりましたが、特にデザートプレートにメッセージもなく、「おめでとうございます」のひと言もなかったのは少々残念でした。
デザートプレートに文字を書くことは「料理の世界観を損なう」から不可、という説明はWEBサイトにも書かれていました。シェフの方針なのです。よく見るとメニューの最後にBON ANNIVERSAIREと小さくお祝いの言葉が書かれていました。
橋本シェフはレストランを営むのに、すべて独自のやり方を貫いておられます。それこそが料理人としてのこだわりなのでしょう。ひとりですべてをまかなうことの大変さを考えれば、自分がやりやすいように、すべてやりたいようにすることこそ、最高のパフォーマンスを成し遂げる絶対必要な条件なのかもしれません。
まとめ
予約が取り難い店の秘密がわかった気がします。ミステリアスでわかりにくいこと。秘密の隠れ家にたどり着いたという喜び。普通に食事をするまでに大変な苦労をすることで、達成した時の喜びは大きいのです。1組だけの貸切というのもプレミア感を味わえます。そういう意味でもシェフの戦略は見事に成功していると言えるでしょう。
(2021年10月訪問)
お店のデータ
店名 | ル ソルシエ |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 山口県周南市 住所非公開 |
電話 | 非公開 ネット予約のみ |
予約 | 完全予約制 |
席数 | 1組限定 4名まで |
予算 | 昼 夜共 コース 10000円~ |
お店のWEBサイト | http://le-sorcier.luna.bindsite.jp/ |