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沖縄に行くなら琉球宮廷料理を一度きちんと食べてみたいと思っていました。
事前に調べても琉球宮廷料理だけを専門で出しているお店は探せませんでしたが、琉球宮廷料理も庶民の人が食べていた琉球料理もきちんとした形で今につないでいる「美榮(みえ)」というお店があることがわかりました。初めての琉球料理体験お伝えします。
琉球料理を食す①
「美榮」は、1958年に美栄橋で創業し、1960年に沖縄モノレール県庁前駅から数分の所に住宅兼店舗を構え今に至ります。開発された周りの建物とは全く違う戸建ての趣のある建物でいただく琉球料理です。
昼食の7,700円のコースをいただきました。
コース料理は、苦菜(ンジャナバースーネ)の豆腐和えとつる紫の酢の物から始まります。次に出された、包包(ぽうぽう)は薄いクレープのような皮に豚肉味噌を包んだもの。琉球でも5月5日は子どもの日でその際に良く食べられた料理で、当日は、舟漕ぎ競争などをしたそうです。
1番驚いたのは、「なかみ」の吸いものです。「なかみ」とは豚肉の胃と腸のこと。それを良く洗って灰汁をとり、ものすごい手間ひまをかけて提供されるもの。島コショウのフィファチが使われている出汁は豚と鰹から取られていて、素麺のように細長い短冊切りに切られたなかみが具になっています。豚肉のこの部位をこんなにも上品に食べたことは初めてでした。
ウムクジ(芋くず)アンダギー(揚げたもの)は表面がサクッとしていてお芋の甘さと表面の塩気がちょうど良い塩梅で、特に沖縄出身の方には人気のある一品なのだそうです。みんなが良く知るサーターアンダギーは、砂糖の揚げたものという意味なのだそう。
琉球料理を食す②
続いて、朱色の器に3種料理が盛られて運ばれて来ました。
「みぬだる」は、擦った黒胡麻を泡盛や醤油砂糖などでのばし豚ロース肉の薄切りを漬け込み蒸して仕上げられています。味の染み込んだ豚肉は胡麻味の豚の味噌漬けのような馴染みのある味でした。
田いもの唐揚げは、たくさんの小芋が付くことからお祝いの席などでも良く食べられる縁起の良い物で最後に砂糖醤油をくぐらせている甘じょっぱい味。もう一品は甘草の花甘酢漬け、地味なのだけど豪華な一皿でした。
手間ひまのかかる琉球料理ですが、色が地味で黒や茶色の料理が多いので琉球の朱の漆器で彩をつけます。料理は器で完成することを今回、改めて感じました。
数少ない知っているメニュー「らふてえ」もギトギト感が全くなくやっぱり上品な味付け、うじら豆腐(がんもどきの様)の煮物、ごうやの炒め物が添えられています。
その後、もやしときゅうり、ピーナツ味噌で和えられた豚の耳(顔の皮まで入ってるらしい)ミミガーとクーブイリチー(昆布の炒り煮)、カステラかまぼこ(お正月に食べる伊達巻のよう)と続き、しめは豚飯です。お店で出されるものにはよーく見ても実際の豚肉は入っていなくて伺ったら美榮では、豚と鰹の出汁をかけるスタイルの豚飯でした。
デザートはドラゴンフルーツ。中まで綺麗なピンクのドラゴンフルーツは今まで食べた事のある白いものに比べて甘みが濃く美味しかったです。
まとめとデータ
琉球料理を美榮の提供スタイルで少しずつたくさんの種類を食べることが出来たのがとても良かったです。
琉球料理について全く知識がないまま食事をしたので、女将さんからの料理のご説明が一度でほぼ一つも聞き取れず、全て聞き返してしまいました。美味しいの前にとても難しい、そしてとても楽しい時間でした。
申し訳ないほど聞き返していたら、お店の方が『美榮』の琉球料理・ご案内という小冊子を譲ってくれました。
実は、美榮創業者の故・古波藏登美さんは、美榮を経営しながら、琉球料理研究会にも所属、琉球料理の研究を続けていたそうです。琉球料理をきちんと残していきたいという強い思いを感じました。丁寧に書かれた小冊子を読んで、おかげさまで琉球料理に対する理解を少しだけ深めることが出来ました。
店名 | 琉球料理 美榮(みえ) |
住所 | 沖縄県那覇市久茂地1-8-8 |
電話 | 098-867-1356 |
席数 | 38席 |
個室 | あり |
予約 | 完全予約制 |
創業 | 1958年 |
予算 | 昼食5,500円~ 夕食9,000円~ |
WEBサイト | http://ryukyu-mie.com/ |