大正元年に建てられた築100年を越える木造建築の純和風旅館として知られる「洋々閣」。館内の随所に歴史の重みを感じるクラシックなお宿です。
この宿の女将である大河内はるみさんは、この古い建物を守ることに長年計り知れない苦労をしてこられたそうです。「女将のご挨拶」の中にこんな一文がありました。
「思えばいつもいつも、建物を守る事に追われて来ました。ためいきが出そうなお金が、修理のために費やされました。でも、それは、宿命なのでしょうね。やーめたって言えませんですもの」
20年ほど前に建築家の柿沼守利氏と出会い、新築を勧められることもなく、少しずつ「老人の身体をいたわり治療するかのように」宿の修理を続けて来てくださったそうです。お陰であと100年は持ちそうだと喜んでおられます。
趣ある高級旅館だけあって、ここのサービスはもてなしの心に溢れていました。
送迎サービスも丁寧で温かなもてなしで感じが良いものでした。スタッフの人々の醸し出す雰囲気も上品でこの宿にふさわしいものでした。有名作家の陶器のギャラリーもあります。
純和風旅館なのでお庭も美しくホッコリできる眺めの良さもあります。ただ良くも悪くもクラシックな旅館なので、床暖房などもなく、冬の日の滞在は寒々しいのが難点。滞在した211号室の「末羅」の部屋には内風呂が小さめのユニットバスで入る気がしないもの。大浴場も19室ある宿の割に小さく、内風呂のみで露天風呂はありません。人が少ないので助かりましたが。
部屋にコーヒーメーカーなどもなくちょっと設備は旧式です。1階のコーヒーを飲める場所まで行かなくてはいけません。
すべては老舗旅館だからと割り切ればいいのかもしれませんが。
お食事の美味しさはこのお宿の大きなポイントでしょう。佐賀県の食べロググルメランキングで9位の人気があるお食事処です。今回は夕食を外で食べたので朝食のみ頂きました。
朝食で出されたものは皆丁寧に作られていて、トマトの皮をきれいにむいであるサラダ、茶碗蒸しも当然熱々で、鰺の一夜干しも出来立てとても美味しかったです。
熱い物は熱々でというのがしっかり守られているのは出来るようで努力が必要です。その点も素晴らしいと感じました。
ざる豆腐は有名な川島の豆腐です。佐賀県グルメランキングで5位を獲りミシュラン1ツ星のお店なのです。何もつけずに食べても美味しい豆腐。むしろ私は付けずに味わいました。
老舗旅館の見事な貫禄を感じた朝食でした。
建物だけでなく、女将はこの宿のサービスやお食事もすべて見事に「名旅館」としてのレベルを守って来られたのだと私は確信していました。
(2022年1月訪問)
旅館名 | 洋々閣 |
住所 | 佐賀県唐津市東唐津2-4-40 |
TEL | 0955-72-7181 |
お風呂 | 大浴場 内風呂のみ |
予算 | 2人部屋利用の場合 1人12100円~(朝食付き。バスなし) |
露天風呂付客室 | なし |
公式サイト | http://www.yoyokaku.com/index.htm |