「今日は料理しません!!」
思わず「はい??」と耳を疑った大将の一言。いやいやいや遥々京都まで来たのに料理をしないとは一体どういうことなのか。ここ「東山 吉寿」の大将・鈴木吉寿氏は元々、京都湯ノ花温泉にある「翠泉」という温泉宿の料理長。6年ほど前に訪れてその料理に感銘を受けた私。その大将が独立してお店を開いたと聞きつけ、こうして京都に足を運んだのですが予想外の展開です。
このお店は他とは少し変わっていて、毎月料理のテーマが変わるのが特徴。「ジビエ」がテーマだったり「タケノコ×中華」がテーマだったり・・・今回私たちが訪問した9月はGO TOキャンペーンにあやかって、テーマはなんと「北海道」!京都なのに北海道?と思いましたが、道産の素晴らしい食材をふんだんに使った料理が味わえると言うから楽しみです。大将の言っていた「料理しません」というのは、どうやらせっかくの良い食材だから変に手を加えないでシンプルに食べてほしいという意味だったようです。
全12品から成るコース料理はユーモラスな大将のトークと共にテンポ良く提供されていきます。以前は温泉宿での食事だったので知りませんでしたが、こんなにおしゃべり大好きな方だったとは!ジョークを交えながらまるでパフォーマンスのように進む時間は常に笑いで溢れていて、こんなに賑やかな割烹は他に無いんじゃないかと思わされるほど。ここまで厨房と客席の壁を感じさせないお店は初めてです。
そして大将が言っていたように肝心の料理は食材の素材を生かしたシンプルなものがほとんど。「ヒラメでウニを巻きました!以上!」「見ての通り車海老です!」と面白おかしく紹介していきます。中でも一番の衝撃だったのがウニパスタ。茹でたパスタに高級なウニをこれでもかと投入して調理は終了!こんな豪快な料理をまさか京都の割烹で目にするとは(笑)しかし余計なものが一切含まれていない料理は素材の味を楽しむのにピッタリなのも確か。でもそろそろ「料理」が食べたい・・・私は「料理」を食べに来たんだ・・・と思っていたところに出てきたのが茄子と金目鯛の煮つけ。これがもう絶品!ウニパスタを作っていた人とは思えないほど繊細で文句のつけようがない味わいに感動!そうコレだよコレ!当たり前だけど、大将料理出来るじゃないですか!(笑)
欲を言えばもう少し全体的にこういう「料理」が欲しかったのですが、概ね満足だった「東山 吉寿」での食事。旅の1ページに残る楽しい時間を過ごすことが出来ました。
(2020年9月訪問)
レストラン名 | 東山 吉寿 |
ジャンル | 日本料理、割烹・小料理、懐石・会席料理、京料理 |
住所 | 京都府京都市東山区妙法院前側町422 |
TEL | 075-748-1216 |
予算 | 23000円 |
座席 | 14席 |
個室 | 有り |
予約の可否 | 完全予約制 |