「わさび稲荷」発祥の名店として有名な福岡の「鮨おさむ」。店主である武藤修氏はこのお店を1991年に創業。「めくばり、きくばり、こころくばり」を大切にしてきたといいます。お店に入るなり、清潔感溢れる広いカウンターの美しいことに見惚れます。
食事中の温かい目配りには誰しもホッと緊張がほぐれます。威張ったり奢ったりとは無縁な大将なのです。そういえば予約の再確認の電話の際も、大将自ら電話してくださり苦手食材のことを丁寧に聞いてくれました。
熱々の銀杏にカボスと塩が添えられて、夜のおまかせコースのお料理の開始です。カワハギの肝タレ和え、お椀に入れた寿司米の上にたっぷりイクラを載せて。そして次に出たのが予想もしていなかったミンク鯨です。ちょっと苦手な食材ではあったものの、生姜と大葉で巻いて食べると脂身もミルキーで意外にさっぱりしていました。
鯵の昆布〆と生姜を海苔巻きにしたものが3貫。先ほどからかなりボリュームがあることがわかりました。私には1皿がちょっと多すぎる感も。ウニとわさび、赤むつ(のどぐろ)の熱い寿司、ヤリイカと赤雲丹、金目鯛の昆布〆と続きます。どれもが醤油を付けなくてもそのまま食べられるようにしっかり味を付けてあります。途中で出た宍道湖のしじみ汁にホッとひと休みです。
この後も続けてどんどん美味しいお寿司が出てきましたが、印象に残ったのは鮪のトロと漬けと中落ちが一緒になった三位一体と呼ばれる1皿。インパクトのある出し方です。私はこの辺りでギブアップとなったので、この後続く穴子や海老などはパス。でも最後に絶対食べたかったのは名物「わさび稲荷」です。思ったより細長くて小ぶりです。揚げは油抜きから煮込みまで計6時間もかけていて、手間暇かけて作られた揚げがしっかり固めで、甘みとわさびの風味がちょうどいい出来栄えでした。
終始控えめで、熱意を持ってお客様を喜ばそうとされる大将。見送り時も外に出てきて、店の前で深々とお辞儀をしたまま、私たちのタクシーが見えなくなるまで決して頭を上げなかったのです。謙虚すぎる大将の、商売に対する真摯な姿勢を思い知らされたのでした。
(2020年9月訪問)
レストラン名 | 鮨おさむ |
ジャンル | 寿司屋 |
住所 | 福岡市南区長住5丁目16番10号 |
TEL | 092-511-2288 092-561-8624 |
予算 | おまかせランチコース5000円~ おまかせディナーコース15000円~(支払いはカード不可) |
座席 | 10席 |
個室 | なし |
予約の可否 | 予約可 |