加賀料理とは地元金沢で採れた食材を使った料理。それは知っていましたが、加賀野菜を使った料理にしても、加賀野菜とは何かまでは知りませんでした。加賀野菜の定義とは、昭和20年以前から栽培されてきて今なお金沢で作られている野菜で、加賀野菜というブランドに認定されているものに限られるそうです。加賀蓮根や金時草、源助大根など、独特のものがあります。とりわけ加賀蓮根の独特の粘りは、蓮蒸しやすり流しなど、加賀料理を作るのに欠かせないものなのです。
金沢の中心、片町の大工町にある割烹料理の「味処 よし村」は、そうした加賀料理を気軽に味わえる店として、地元の人々に愛されてきました。
我々がお店に到着したのは11月のとある金曜の夜9時。東京から新幹線で金沢駅に着いてすぐにタクシーで走っていきました。そんな遅いスタートでも受けてくれるお店は貴重です。朱塗りのカウンターで大きなズワイガニをさばいて炭火で焼いてもらっているお客さんを横目に、靴を脱いで2階の個室に通されました。カウンターの喧騒はなく、静かな個室は落ち着きます。
食材に手抜きのない加賀料理のコースが夜なのに6000円とはお手頃な設定です。
先付けの大根は柔らかく味が染み込んでいて、七味がかけてある熱々のをフーフーと頂きます。造りはさすが金沢、どれもが厚切りでボリュームたっぷり。付け合わせは大根ではなく糸カボチャです。そうめんカボチャとも呼ばれるそうです。牡蠣の真丈のお椀はあまり牡蠣の風味を感じませんが、身体は温まります。
次に出たのは加賀料理の代表格「蓮(ハシ)蒸し」。金沢ではハスのことをハシと言うそうで、蓮根饅頭のことでした。薄味で美味しい仕上がりです。焼物の目鯛と一緒に香箱蟹の酢の物登場。身出しして甲羅にきれいに並べてある蟹の身と卵をカニ酢を付けて頂くと、冬の到来を感じます。添えられた金時草の歯ごたえもよく、蟹との相性がいいのです。
白エビとエシャロットの天ぷら、蓮根麺と続きます。ご飯の代わりに麺が出たのです。コシがあってつるっといける美味しさです。麺を食べていたらすぐにデザートも置かれます。夜も更けてきたので、サービスもスピーディーになります。
地元の主婦らしきサービスの女性が数人いて、交替で運んでくれましたが、愛想のいい人とそれほどでもない人がいて、説明も雑で居酒屋レベルの人がいたのが残念な点です。まあ、気さくな店として地元の人々が通うにはちょうどいいのかもしれません。遅くまでお邪魔したことに感謝してお店を出たのでした。 (2020年11月訪問)
レストラン名 | 味処 大工町 よし村 |
ジャンル | 日本料理(加賀料理) |
住所 | 石川県金沢市大工町22 |
TEL | 076-232-3001 |
予算 | ランチコース 4000円~ ディナーコース 6000円~ |
座席 | 50席 |
個室 | あり |
予約の可否 | 予約可 |