フランス語で「風景」を意味する「ル・ペイザージュ」。美しい景色を眺めながらいただく食事というのを売りにしているレストランはいくつもありますが、ここはその中でもとりわけ素晴らしいロケーションを誇ります。
琵琶湖のほとりにあるオーベルジュ「ロテル・デュ・ラク」。そのまま「湖のホテル」という名前のオーベルジュですが、今回ご紹介する「ル・ペイザージュ」はそんな琵琶湖のオーベルジュで味わえるフレンチレストランなのです。なんと「ゴ・エ・ミョ ジャポン2020」で15点の高得点を獲得しており、期待が高まります。
昼間の海のように青く広がる様子もさることながら、夕暮れ時は一段と美しく映える琵琶湖。そんな景色を大きな窓ガラスから堪能できるとは、なんとも贅沢な空間です。
そしてこのような絶好の環境でいただく料理はと言うと、滋賀の食文化に深い関係のある「発酵」の技術を取り入れたフレンチです。私は今回訪れるまで知らなかったのですが、滋賀県は別名「発酵県」とも称されるほど発酵文化が根付いている土地なのだとか。今や全国的に食べられている「鮒ずし」をはじめ、県内には多くの酒蔵や、醤油、味噌、酢の醸造所が存在します。シェフの山本卓也氏は、こうした滋賀ならではの発酵技術をフランス料理に取り込むことで、彼ならではの新しいフレンチをつくり出しているのです。
特に良かったのが鯖を使った一品。発酵させた鯖をこれまた発酵させたリンゴといただくのですが、ソースはホエイとホワイトバルサミコを合わせた特製ソース。今まで食べたことの無いような、香りが強く深みのある味は発酵料理だからこそでしょう。
しかし、発酵食品を上手くフランス料理に落とし込んでいた料理があった一方で、なんとも言い難い料理があったのも事実。特にアミューズで出てきた、発酵バターでソテーした海老芋を柚子風味のチョコレートソースでいただく料理には悪い意味でびっくり。正直こちらの品は奇をてらいすぎたのか、「あ~海老芋を柚子風味のチョコレートと一緒に食べた味だ~」とそのままの感想になってしまった微妙な一品でした。
オードブル以降はどれも素晴らしい品だっただけに、コースの印象を決定づけるアミューズがこのような形になってしまったのは少し残念でしたが、全体的に見れば満足のいくディナーになったように思います。もしここで食事をする機会があるならば、少し早めの時間に予約をして夕暮れ時の琵琶湖を横目にいただくのが良いでしょう。(2020年11月訪問)
レストラン名 | ル・ペイザージュ |
ジャンル | フレンチ |
住所 | 滋賀県長浜市西浅井町大浦2064 |
TEL | 0749-89-1888 |
予算 | ランチ¥6,000~ ディナー¥14,000~ |
座席 | 20席 |
個室 | 無し |
予約の可否 | 予約可(ただし宿泊客優先) |