舞台は大阪・難波。ごちゃごちゃとした看板と店構えが非常に大阪らしいこの町。数々の粉もののお店が軒を連ねる激戦区でもあります。
「大阪と言えばたこ焼きとお好み焼き」きっと誰もが認める言葉ですが、では大阪名物の甘味とは一体何なのか。正直パッと思い浮かべられない人がほとんどでしょう。どうしてもソースやタレのイメージが強い大阪の食事。なんなら甘味は京都の得意分野というイメージすらあります。
しかし実は大阪にもちゃんと「名物」と呼ばれる甘味が存在するのです。その代表とも言えるのが、法善寺横丁にある「夫婦善哉(めおとぜんざい)」。ここの名物はそのまま店名にもなっている夫婦善哉です。普通のぜんざいと何が違うのかと言うと、1つのぜんざいを2杯のお椀に分けて出てくるという、その1点に尽きます。別に2つのお椀で味が違う訳でもなければ量が違うわけでもない。ただ、1つ1つのお椀に入った量は少なく、それこそ2杯食べて初めてちょうどいい量で、なるほど「夫婦」と名付けられた理由が分かります。
あんこと白玉のみの非常にシンプルな夫婦善哉は、それでいてとても上品な甘さで非の打ち所がない美味しさ。そんな絶品ぜんざいを提供している「夫婦善哉」ですが、このお店が大阪名物と言われるまでに成長したのはとある著名人の影響が強いでしょう。
昭和15年に「東の太宰、西の織田」と称された文豪、織田作之助。彼は生前法善寺を「大阪の顔」と称し、県外から来た人に「大阪らしい場所に案内してくれ」と言われると必ずここへ連れてきたのだと言います。そして織田作之助は1940年にお店の名前から取った「夫婦善哉」という小説を発表。たちまち人気となったその作品はなんと映画化までされ、このお店が一躍人気になるきっかけとなりました。
以来、夫婦善哉は夫婦円満、商売繫盛、縁結びのぜんざいとして評判なのだとか。2人で1椀ずつではなく、2人で2椀ずつ食べるのが昔ながらの食べ方。もしかしたら、ぜんざいパワーで夫婦円満に過ごせるかもしれません。(2020年12月訪問)
レストラン名 | 夫婦善哉(めおとぜんざい) |
ジャンル | 甘味処 |
住所 | 大阪府大阪市中央区難波1-2-10 法善寺MEOUTOビル |
TEL | 06-6211-6455 |
予算 | ¥800~ |
座席 | 18席 |
個室 | 無し |
予約の可否 | 予約不要 |