先日30年来の友人と食事に行くことになった。彼は私にとって重要な友人である。他の友人も含めて食事に行くことは度々あったが、2人で食事に行くのは何と25年ぶりである。人生の重大な岐路にたっての話をすることになったのだ。レストランはどこがいいか? 難しい話をするのでうるさい居酒屋はパス。そもそもコロナ禍の中で居酒屋に行く気がしない。男同士なので、和食の店がぴったりだが、和食ならカウンターが必須。しかし、カウンターで話すような内容ではない。
ということでイタリアンにすることに決めたのだ。というよりただ単にイタリアンを食べたかったのだ。こういう場合のイタリアンのお店の選択は意外と難しい。男同士で行くイタリアンはどこがいいのだろうか?
今どきのイタリアンのお店は女性の目線を大切にしている。少量多皿のメニュー構成、野菜へのこだわり、インスタ映えする美しい料理、おしゃれで居心地いい空間・・・・
しかし今の私にはそんなものは必要がない。まずまず美味しく食べられればいいだけなのだ。メインは男同士の大切な話。おしゃれな店はいらない。
私の中のカンピューターが動き始めた。もちろんグーグルで検索をしたわけではない。うん。この店だ。中目黒のICARO miyamoto(イカロ ミヤモト)が最適だと出たのだ。行ったことはないが頭の中にこの店の情報がインプットされているのだ。宮本兄弟の「骨太のイタリアン」のお店だという。「骨太のイタリアン」・・・これこそで男同士で食べに行くイタリアンにふさわしいだろう。
弟がシェフでイタリア北部トレンティーノ・アルト・アディジェ州で7年間研鑽し、北イタリアの郷土料理が得意らしい。と、いっても料理だけでななく、スノボの修行もしたらしい。これは関係ないか。マネージャーの兄はワインへの造詣が深く、ワイン好きを虜にするラインナップと価格が魅力だという。おまけにミシュラン星付きレストランの常連店で、食べログ・東京イタリアンのベスト20にも入っている。(2021年3月現在) 今回は人生の大切な話。ミシュランも食べログもあまり関係ないが、おいしいに越したことはない。私はこうしてこの店に決めたのだ。
イカロ・ミヤモトはアラカルトが主体だが、男同士の大切な話。メニューを選んでいる余裕はない。それで一休のサイトからコースを選択することにした。
さて当日、緊急事態宣言下ということもあり、夕方一番の来店をすると店は誰も入店していなかった。うん。思ったとおりの店だ。おしゃれではない。カフェのようなカジュアルさ。デートには不向きかも。これがいいのだ。男同士の大切な話をする場としてはぴったりなのだ。
サーブするのは兄だ。サービスはややそっけない態度だが、これでいいのだ。スパークリングやワインをメニューで選ばなくてもおすすめをサーブしてくれるのもいい。大切な話をしているのでワインを選ぶ暇もない。
前菜は桜マスの軽い燻製とブッラータチーズ。前菜とは思えないほどの大ボリューム。さすが「骨太イタリアン」チマチマした出し方はしない。白アスパラのあとはパスタ2品。1品はキッタラ フレッシュポルチーニのソースと、もう1品はオレキエッティ しらすとブロッコリー カラスミがけ ううん?キッタラは中部イタリアのパスタ。オレキエッティは南イタリア・プリア州のパスタでは? そもそもシェフが修行したトレンティーノ・アルト・アディジェ州はかつてオーストリア領でパスタはあまり食べないと聞いていたけれど。でも、そんな産地のことは些細な問題だ。お味の方はまずまず。メニューは創業以来あまり変わっていないという。時代に流されず、自分の思うママの料理を供する、これぞ男イタリアンの鑑だ!!
メインはイベリコ豚。これもすごい量。野菜より肉というのもこの店ならでは。インスタ映えとかそんなことは全く考えられていない。ワインも急ピッチに進む。兄のサーブの態度はあまりかわらないが、ワイングラスが空になる前には次のワインを聞いてくる。男のイタリアンにはこういうサーブが最適だ・・・・
ワインと料理で満腹満足、また男イタリアンのサーブのおかげで人生の大切な話も無事終了した。ふと、隣の席を見ると、客は男性でなく、大人女子2名連れではないか?話に夢中で今まで気が付かなった。 この店は「骨太のイタリアン」ではないのか? 改めて店中を見渡すと80%が女性客だった。驚いた。コレこそが「骨太のイタリアン」の正体だったのだ。(2021年3月訪問)
レストラン名 | ICARO miyamoto(イカロ・ミヤモト) |
ジャンル | イタリアン(イタリア料理) |
住所 | 東京都目黒区上目黒2-44-24 COMS 中目黒4F |
TEL | 03-5724-8085 |
予算 | ディナー10000円程度。基本はアラカルト |
座席 | 24席 |
個室 | なし |
予約の可否 | 可 |