
ホテルの敷地内に可愛いシカが遊びに来る

モダンでゆったりしたスペースの室内は少し暗い照明
梅雨が長かったため、今年の夏は突然始まった感じです。楓の木々の迫るような緑から押し寄せてくる蝉しぐれに夏を感じつつ、ゆったりと御影石の専用露天風呂に入ります。
ここ「ふふ奈良」は河口湖や熱海などに同系列のホテルを持つチェーンで、他数軒に泊まってよかったので、2020年6月にオープンしたての奈良にも泊まってみることにしました。全30室に天然温泉の露天風呂が付いていて、バルコニーで奈良の自然を肌で感じる贅沢な時間が過ごせる宿です。なにしろ宿は奈良公園内にあって隈研吾氏設計の自然と融合した超お洒落なリゾートタイプの温泉宿に仕上がっています。公園の自然がまるでホテルの庭のように、優雅なゆとりを与えてくれるのです。

奈良公園の緑が迫る専用露天風呂も天然温泉のいいお湯
奈良には少し前まではいいホテルがほとんどなかったので、ホテル愛好家たちは皆、京都や大阪に泊まってそこから日帰り観光を余儀なくされていました。でもここ数年前から、いくつかの素敵なホテルも建ち始め、奈良に泊まる人も増えているようです。
室内のインテリアは黒っぽくシックという印象。よく見ると焦げ茶に統一された室内は、奈良の伝統文化である大和張りや奈良格子、連子格子などを取り入れて陰影のある印象。木目の美しい吉野杉もふんだんに使われ、奈良の魅力を表現しています。バスルームはダークグレイの御影石で床や壁、露天風呂が作られていてお洒落のひとこと。全体的に照明も落としているためむしろムードがあり過ぎて、私などは読書にやや不便を感じました。

八寸も美しい盛り付けの懐石料理の夕食
食事処「滴翠」は敷地内ですが少し離れているので、ホテルゲストは竹林の小道を歩いて向かいます。このアクセスがまたこの宿の大きなポイントのひとつです。竹林にはシカが遊びに来ていて、呼ぶとすぐそばまでやって来て餌をねだります。さすが、人に慣れた奈良公園のシカ!また夜は竹林がライトアップされ本当に幻想的です。
食事処の料理は大和野菜やハーブを多く使ったヘルシーなものが自慢。日本料理のコースの中に突然オマールの飛鳥鍋というメニューが登場して目を引く工夫がありました。オマールのビスクに白味噌を溶かした濃厚なスープは和洋折衷の滋味深い味わいでした。
奈良にも、また泊まりたい宿を見つけた。そんな嬉しい発見の夜でした。
(2020年8月訪問)
旅館名 | ふふ奈良 |
住所 | 奈良市高畑町1184-1 |
TEL | 0742-81-7738 |
お風呂 | 大浴場なし |
予算 | 2人部屋の場合1人45000円から(2食付) |
露天風呂付客室 | 全室にあり |