1996年に世界文化社から発刊された「田園の快楽」という本をご存知でしょうか。画家で随筆家の玉村豊男さんが1980年代から住んでいた長野県軽井沢の家を引き払い、1992年にヴィラデストに畑を耕す生活を求めて移り住んだ田園の生活を1年にわたってまとめた本です
南斜面に面した土地を見つけた時は、ご夫婦で「ここだ(EST)!」と思われたそうで、ヴィラデストという名前の元になっています。宿などで良く使われるヴィラ(Villa)の本来の意味は、「大邸宅」や避暑地や海辺の「別荘」、上流階級のカントリーハウスのようなイメージですが、田舎に拠点をおきながら都市にも出て仕事をする農園主というまさに玉村豊男さんにぴったりの名前です。
敷地からは下に街が見渡せ、その景色の綺麗なことと言ったら。また、ワインを美味しく作るためにも水はけの良い傾斜している土地が望ましいそうで、見事にその条件にあてはまったヴィラデストに1992年に葡萄の木を植えて、はや30年、ワイナリーとしても有名になりました。
私がヴィラデストのレストランを訪れたのはもう数回目です。毎回少しずつ変わっているレストラン、時を経てまた年季が入っていそうで楽しみです。豊かさを感じたくなる時にヴィラデストに足が向くようです。
レストランオープンの時間まで畑をゆっくり散策しました。ここには、ショップもあって玉村豊男さんが描いた野菜の絵がプリントされている食器やランチョンマット、絵葉書など気になる物がたくさんあります。もちろんワインも買えるし、地元生産のジュースや元スタッフの方がレストランの地下で焼いて、週末だけ店頭に並ぶ若林パンなどもあり見応えがあるので、ゆったりとした時間を取ることをお勧めします。私がショップで一番好きなのは本の売場です。玉村豊男さんの本には全て直筆のサインが入っているのですが、何の本が置いてあるのか毎回見るのがとても楽しみなのです。今回は、数年前に玉村豊男さんが50年ぶりに新訳した、19世紀のフランス文学のあまりにも有名な(どんなものを食べているか言ってみたまえ。君がどんな人か言い当ててみせよう)という一文で知られるブリア=サヴァランの「美味礼賛」をようやく手に入れることが出来ました。
レストランは、南仏プロヴァンスでランチをしているような気分になります。窓辺からは、畑にいる時以上に下の街が綺麗に見えて空や雲が刻々と景色を変えていきます。
ヴィラデストのワインは、グラスとハーフグラスが選べたので2種類楽しみました。ランチに合う軽めのワインです。アミューズは、ブロッコリーとベーコンとチーズで焼いたケークサレでワインにぴったり。敷地で採れたタイムを練り込んだパンも塩気がちょうど良い。前菜は、焼きとうもろこしのスープとトマトのムース、メインは魚をチョイスしました。真鯛のポワレは、ローストトマトの赤いソースと上にズッキーニとたまご、バジル、ニンニクから作られる緑のフォンダンのソースと揚げたパプリカと玉ねぎが添えられています。スープもメインも2種類の味が楽しめました。デザートは、桃のコンポートとジュレの上にヨーグルトソルベとブルーベリー、見た目も可愛らしいさっぱりとした一品でした。
入口からショップとレストランに入れますが、階段を下がるとギャラリーがあって、玉村豊男さんの作品の原画や版画が展示されて購入することも出来ます。 (2021年8月訪問)
レストラン名 | ヴィラデストカフェ |
ジャンル | フレンチ(フランス料理) |
住所 | 長野県東御市和6027 |
TEL | 0268-63-7373 |
予算 | ランチ2.000円〜 ディナー7.000円〜 |
座席 | 60席 |
個室 | 無 |
予約の可否 | 可 |