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日本中の温泉宿をいろいろ泊まり歩いてきました。宿の評価には宿の設備や料理、サービスなどいろいろな評価基準があります。でも温泉である限りお風呂の良し悪しは最も大切な評価基準となります。中でも大切なのは露天風呂です。露天風呂の環境のすばらしさ、大きさ、源泉かけ流しであるのはもちろんのこと、源泉に近いとか、泉質がよく効能が高いなども大切です。お風呂のメンテナンスも大事かと思います。
今まで入った露天風呂の中で最も気持ちがよかった露天風呂がある宿ベスト10をご紹介しましょう。(日本全国からチョイス。掲載の順番は良し悪しの順番ではありません)
帆山亭 (黒川温泉/熊本県)
秘境ムード漂う露天風呂として最高に気持ちがいいのは、熊本県黒川温泉にある帆山亭です。なにしろ筑後川の渓流に面した黒川温泉の源流に位置する宿なのです。しかもその露天風呂は大浴場ではなく、お部屋に付いていた専用露天風呂なのでびっくり。
すぐ横の川は魚が泳いでいるほど清らかで、湧水が美味しい飲料水としてそのまま飲めるという環境の良さ。この開放的で最高レベルの露天風呂があれば大浴場は要らない?渓流の音を聞きながら溢れる緑に包まれて入る露天風呂はこの世の天国。
この宿のもう一つのびっくりは夕食タイム。料理の出し方の演出がすごいのです。1m以上ありそうな特製のトレイに載せられたたくさんのお皿がドーンと登場。これは面白い!
星ヶ岡山荘 (六合 尻焼温泉/群馬県)
群馬県北西部の六合(くに)という村は「日本で最も美しい村」連合に選ばれた村です。秘境のように大自然に包まれた日本の原風景とも呼べる緑濃い風景が広がっています。そんな六合にある尻焼温泉は、川底から湧き出す豊富な湯を堰き止めて造られた温泉郷。天然の源泉かけ流しの温泉なのです。
そこにある星ヶ岡山荘の露天風呂はそれこそ「日本で最も素晴らしい露天風呂」のひとつ。男女入れ替え制で、四方八方緑に包まれるように木々が近いお風呂と、階段で下りていくアクセスが秘湯気分満点の渓流に面した露天風呂の二つが味わえます。部屋の専用露天風呂も緑が美しくいいお湯です。その上貸切家族風呂まであるという充実ぶりです。
料理も美味しく創作性があって、宿泊代はコスパも最高。女将が目指す「居心地の良い宿。静かに過ごせる宿」という理想は見事に叶っているのです。
山人(やまど) (湯川温泉/岩手県)
岩手県の山奥、観光ルートから外れた僻地に位置する湯川温泉に「山人(やまど)」という高級温泉宿があります。冬には2m以上の雪が積もる豪雪地帯で、周辺に見どころと呼べる場所もないのに、この宿は人気でいつも賑わっています。豊かな自然に包まれて宿には12部屋の客室があります。すべての部屋に24時間いつでも堪能できる天然温泉掛け流し半露天風呂が付いています。
この宿で忘れてはいけないのが貸切露天風呂。脱衣所と浴場を仕切る壁も無く、目と鼻の先には清流が流れ開放感抜群です。鳥の声と川のせせらぎに耳を傾けながら入るお風呂は至福のひとときです。
また地元の食材を知り尽くした料理長が新鮮な食材で美食のディナーを生み出しています。この宿を訪れる楽しみの一つに食事を挙げる人も少なくないはずです。
扉温泉 明神館 (扉温泉/長野県)
温泉好きの人の中でも立ち湯が好きな人は多いのではないでしょうか?私もその一人。日本全国の温泉の中でも立ち湯が気に入って2度行ったのはこの扉温泉 明神館です。写真のように渓谷の緑が写り込む半露天の立ち湯は、ため息が出るような美しさです。大浴場は他の場所にあって、独立して立ち湯だけでもこの広さがすごいのです。立ち湯は浅いお風呂に比べて断然リラックス効果が高くて心地よいもので、病み付きになります。
標高1050ⅿの国定公園の山間に佇む珍しい一軒宿で、それが世界でも認められる「ルレ・エ・シャトー」のメンバーにもなっている洗練された宿なのです。お薦めは2019年にオープンしたスタイリッシュな「然ZEN」というカテゴリーの部屋です。非日常体験にふさわしいインテリアは通常の温泉旅館では見られない斬新なもの。バスルームやパウダールームの広さは驚くほど。私の部屋にはテラスに20㎡の寝湯も付いた大きい露天風呂がありました。
妙見石原荘 (妙見温泉/鹿児島県)
温泉は鮮度が大切です。目の前に源泉があるため、鮮度のいい引きたての新しくて清らかな湯に入れるのが自慢の宿があります。鹿児島県の妙見温泉郷の中にある老舗旅館「妙見石原荘」。ここは渓流に面して様々なお風呂があることで人気のある宿です。中でも渓流の畔まで下ったところにある混浴の露天風呂が最高です。湯あみを着るので大丈夫なのです。男女別大浴場の他、30分の貸し切りができる露天風呂「七実の湯」と、ちょっとユニークなつくりの円形の有料貸切露天風呂「睦実の湯」の2つも別にあり、色々楽しめてお風呂好きには堪りません。
料理長は京都・北山の超有名日本料理店「美山荘」出身なので、ここの料理が京都風に薄味であっさりしていることもいい点です。こだわりの椀物に注目です。たくさんのお風呂に入れて、美味しい料理を食べて大満足なこと間違いなしです。
この宿についての詳細はこちらをご覧ください。
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温泉山荘 だいこんの花(遠刈田温泉/宮城県)
露天風呂がお気に入りの上位に入っているのがここ宮城県遠刈田温泉の「温泉山荘 だいこんの花」です。蔵王の麓、一万坪余りの森に佇む18室の癒しの温泉宿です。ここには大浴場もあり、部屋にある露天風呂も素敵ですが、なんといっても素晴らしいのが4つある貸切露天風呂。このお風呂巡りが何よりの楽しみです。
イチ押しはやはり一番遠くにある貸切露天風呂「通り雨」。散歩して森の中のお風呂に入る、というアクセスが楽しいのです。森林浴をしながら心地よいお風呂に浸かるのは最高の贅沢です。
宿泊プランはオールインクルーシブプラン。室内のミニバーの飲み物やお菓子、そして食事時のいくつか設定されたアルコール類を含むドリンクが込み。貸切露天風呂やどんぐりコテージでの溶岩浴なども追加料金なしで利用できて安心なプランでした。
黒川温泉御処 月洸樹 (黒川温泉/熊本県)
杉林、田園、棚田。360度辺り一面の瑞々しい緑が目に染みる美しさです。そんな風景すべてを独り占めして露天風呂に浸かる贅沢なひと時。青空とそよ風の中、昼間に入るのも絶景ですが、天空に輝く月明りを浴びながらゆったりと入るのもいいでしょう。これはまさに天空の露天風呂!
これがあるのは黒川温泉御処 月洸樹。黒川の渓谷沿いの4500坪の広大な敷地に、すべてが「離れ」と呼ばれる8棟の客室が点在しています。全室露天風呂付き。
私の泊まった「佳月」は古民家風のインテリアで、L字型の大きな露天風呂が付いていて、囲炉裏端風のテーブルの下は何と足湯まであります。設備は快適な和モダンなお薦め宿です。
日景温泉 (日景温泉/秋田県)
秋田県・白神矢立の大自然に包まれるようにしてひっそりと佇む温泉宿。明治26年に開湯された歴史を持つ日景温泉には宿はなんとここ1軒のみ。ど田舎と言える辺境の地に「ポツンと一軒宿」なのです。
源泉掛け流しの湯はアトピーなど皮膚病に効くし、傷を治癒するとも言われる白濁した硫黄泉。総ヒバ造りの広い大浴場や露天風呂、貸切家族風呂があります。
どれもが加温も加泉もしていない高濃度の湯で炭酸水素塩泉は肌がつるつるになる美人美肌の湯と言われ、透明な塩化物泉は造血作用を活発にす薬湯だと言われています。いろいろな効能が期待できます。
レトロで古い建物なので昔のムードが残され迷路のようにわかりにくいのも楽しいもの。料理は食材にこだわった郷土料理を織り交ぜた会席。とりわけ印象に残ったのが秋田牛の蒸籠蒸しと〆のきりたんぽ鍋でした。郷土料理はやはり身も心も温まります。
竹ふえ(白川温泉/熊本県)
竹林の幻想的な風景を目の前にして露天風呂に浸かる。熊本県の秘境、白川温泉にあるそんな高級旅館が「竹ふえ」です。なんと約4000坪もの広大な土地に生える数万本の竹と数百本の紅葉に囲まれるように建っています。部屋は目の前に竹林が迫り、開放感抜群の洗練されたデザイン。私の泊まった「小夜」という純和風の室内は驚くほど広く、シアタールームまで付いていて、源泉かけ流しの専用露天風呂付き。そして露天風呂の広さはまるで大浴場のよう。だからこの宿には大浴場はありません。
施設内には3つの貸切露天風呂も。竹林と紅葉に囲まれた「竹林の湯」と、その回廊を進んだ先に繋がる「奥の湯」、そして周りをぐるっと岩で囲まれた「洞窟露天風呂」。どれも雰囲気抜群で、まるでジブリの世界から飛び出してきたかのようです。いろんなお風呂を楽しんでゆったりした時間が過ごせます。
土湯別邸 里の湯(土湯温泉/福島県)
56段の木の階段を下りていくとあるのが、杉の原生林に囲まれた八角形の可愛い露天風呂と岩の露天風呂。自然の中で杉木立の香りを吸い込んで露天風呂でゆったり。まさに至福のひと時です。
磐梯朝日国立公園内の渓谷の中、土湯温泉の素朴な温泉旅館、土湯別邸里の湯。
杉の木々に囲まれてゆっくり貸し切りで入れる、六角形の可愛い金剛の湯 や池のように大きく、杉林に囲まれた露天風呂。そして露天風呂のほかに大浴場の古代檜風呂、半露天風呂を併設した家族風呂など、どれもが心地よいお風呂で、なんといっても素晴らしいのは、すべてのお風呂を貸し切りにしてくれるという気の利いたサービス。コロナ禍にあって3密を避けられるように貸切にする発想は、なかなかできるようで、ここほど完璧にしている宿は少ないのです。
まとめ
いかがでしたか?いろんなタイプの露天風呂がありますが、気に入った露天風呂は見つかったでしょうか?ぜひこの記事を参考にして、素晴らしい露天風呂に出会ってくださいね!